『幽霊はここにいる』東京公演観劇後の感情

 

 

12月19日の夜、20日の昼に観劇致しました。
まず言いたいのは、本当に素晴らしい舞台でした
舞台作品をそんなに数見たという訳ではありませんが、そんな少ない観劇経験の中でも本当に素晴らしくて、『上質な演劇作品を観た!』という満足感がすごいです。
以下、感想とはいえない感情をまき散らしています。

※戯曲は観劇後に読みました
※ネタバレありきで綴ってます

 

いきます

 

 

 

 


開幕してカーテン?に影が写ってカーテン開けて歌ってる市民たちが見えた瞬間「うわぁ、演劇が始まった!」と感動してしまった。
浅い感想で申し訳ないのですが、本当に王道の演劇を観てるぞ!今!のような気持になり…。
円形のカーテンがすごく面白くて、場面転換も軽やかにできるし影が映るのがゾクゾクしました。
第一幕最後のミサコの影が近づいてきて終わるところとかすごく良かった。
上から砂降ってくるし足場もほぼ砂だし観てる以上に体力のいりそうな舞台だなぁ。
ミュージカルや音楽劇とまではいかないですが、ちょいちょい歌うシーンがあるのも良いですね。じわじわ鳴るドラムやアコーディオンのメロディが物々しさをグッと上げてくる。
生演奏が素晴らしい~~~!

 

登場して早々八嶋さんのコミカルな演技が愉快で入り込みやすい!この入り込みやすさがすごく心地いい。
観劇後に戯曲を読んだので、戯曲での大庭にパンチが足りないと思うほど八嶋さんの存在感が強すぎましたw
八嶋さんはドラマ『HERO』で知って以来ずっと好きな俳優さんでしたが、生の演技を拝見したのはこれが初めてで観られて本当に嬉しかったです。
(『泣くロミオと怒るジュリエット』チケット取れてたのに観れたかったので…😢)
やっぱり舞台の人だなぁ~~当たり前なこと言うなって感じなんだけど声量が生で聞かせてくる声量の方だ。


大庭が深川の肩ガッてする時に深川がちょっと屈むのが可愛い。神山くんが…大きいだと…!?
二人でコソコソとヒカリ電気に行くところで既にコンビ感が出てるのがまた可愛い。
ヒロインのミサコ役の秋田汐梨さん、19歳!?マ!?信じられない……地に足ついたお芝居で発声も良いし、ハッキリした物言いのミサコ像を本当に上手く表現されいてた…これで19歳なんて今後に期待しかないじゃないですか…。
ミサコが部屋で一人CMみたいな歌歌ってるの可愛かったなぁ~~!


この大庭がやらかして1年は身を隠すって話が8年もフラフラほっつき歩いてたってことでオッケー?
てことは下手したら戦時中から?さすがに終戦後?
結局本当に殺した?の?トシエは目撃してたの??
この戯曲自体なんかあやふやなことが多いですよね。
そこが観ていてモヤモヤするのにテンポよく喜劇が繰り広げられるので感情が面白いことになる。
こんなにテンポ良くなかったらもっとモヤモヤしてそう。


真ん中の砂の上に店の看板や玄関を立ててるセットがすごく珍しくて新鮮。持ち運び可能でことあるごとに運んでるのが面白くて大庭がノリノリで運んでるのを見ると笑ってしまう😂
ところで奥さんジャンプ好きすぎる。
机運ぶときのクルクルシーンもいつから始まったアドリブなんだろう。
ここもだけどグイグイ押せ押せの大庭を平常にかわしていく深川の対比がずっと面白い。

 

深川の『戸籍の歌』
幽霊の付き添いでしかない、自我がほぼ無い深川が歌って踊るなんてもう正直オタクへのサービスシーンでしかなかったですが、ココのシーンは本当に見応えがすごかった!
PARCO劇場に響き渡る化粧水ボイス!(この言葉も随分浸透してきましたね…正に化粧水の如く…)
砂と共に舞う深川…しなやかに動き回る神山智洋の関節…!
戯曲では台詞だけだったこのシーンをよく歌うシーンにしたなぁ。すごい。
ミサコが部屋で一人でCMっぽく歌ってるシーンと対比して、これは深川による幽霊向けのCMソングってコト?
このシーン、とにかく己に搭載された自担ロックオン機能がフル稼働してしまって見事に深川しか追えてないんですが、ちょいちょいレポ見てたら他の方の動きもメチャクチャオモロそうなので、大阪公演では全体を見るようにしたい。


劇場から注釈があった喫煙シーンは箱山でしたね。そうだよな、深川(ビジュがジャニーズJr.)が吸ってたら補導モンだよ
ちな登場人物の中で純粋に好きなのは箱山です(実りそうにない恋してる人大好き)
箱山くんは連中を俯瞰で見る立場だけど、本当はみんなに混ざりたい的なことを木村了くんが仰ってるのを見てちょっとわかるなぁと思ってしまった。
幽霊に治療をお願いしたい、のあたりからいよいよ街全体がおかしくなっていってるけど、おかしくなってる側の方がなんだか楽しそうですもんね。
そして幽霊ビジネスによってだんだん市が豊かになっていく様が面白い。市民の服に散りばめられた金色が下品な豊かさを表現してて良い。
中でもトシエが一番衝撃だったかもしれない。あのナリでブイブイやってるあたり大庭と一緒になっただけのことはあるよな…。田村たがめさんの風貌と演技がまためちゃくちゃ良いんですよね……出てきた時は平凡な主婦だったのに急にお金の匂いプンプンになって…。
この様子もテレビで見てる北浜市以外のの地域の人からしてみたらハァ??って感じなのかな…。


深川が彼に殴られるシーンはさすが神山くんだなぁ……というか、ここの本当に殴られてるかのような躍動感すごかった。上手いだろうなぁとは思ってたけど上手かった。
ここらへんから彼も『人が変わった』ようになっていってるけどこれは何でなんだろうな?
幽霊なりの承認欲求の現れ?


『ちゃんと役に立つものがちっとも売れないで、ありもしないものがどんどん売れる』
ミサコの名言ですね。
今でもあるもんなぁ…商品としてあるけど果たして本当に……?みたいな物。


幽霊を遠くにやった後にミサコにフォロー入れる深川はなんかおもろかったです。ひっぱたかれてたのも。
深川自身も気があるんだろうけど彼に気つかってるのかな?あくまで彼の代理っていう立ち位置でいるんだろうし。
そしてこの話のそもそものそもそも、『何故幽霊が現れたか』をミサコが語るんですね。
本人が語るシーンがないというのがまた信憑性をあやふやにさせるというか。人から聞いた話を聞いてる状態ですもんね観客は。


幽霊の写真買い取る→高額で買い戻させる
自殺者が出たことで幽霊の保険を作る、幽霊の制服を創る
よくもまぁここまで金を稼ぐことだけに全振りできる人だなぁ……とドン引きレベルなのに、八嶋さんが演じることによって憎めない存在になってるのが本当にすごい。普通なら近寄りたくないよこんな金の亡者おじさん。
そこを八嶋さんがチャーミングに演じていらっしゃるのがすごい。


後援会発会式での原稿は幽霊と深川二人で作ったって言ってたけどこの時点では幽霊・彼として深川が読んだのかと思いきや実際は眠っていた吉田がふいに現れたのかどうなんだろう…?って悩ませられるシーンですよね…。
そして深川(神山くん)の声がバカデカくて歓喜してしまうシーン。
この後援会発会式のあたりから幽霊の発言?がどんどんおかしな方向に行ってるのが観ててオイオイオイとなってくるんだよなぁ。
そして市民はあまりに幽霊の存在を受け入れてる?ものだからどうしようどうしようと焦る。
名指しで『幽霊が結婚したいって言ってます!』ってテレビで言われるの嫌すぎるww


まりゑさんオンステージ!
ずっと市民役だったまりゑさんがここにきて本領発揮!この美貌を生で拝めてHappyでしたが、まさかの歌まで…!
可愛く歌うverと終盤のバリバリ低音で聴かせてくるジャズverと2種類あるのも良い…!
そしてここからお偉方4人がどんどんノリノリになっていってるのがオモロすぎるwwwオタ芸みたいだったwww
そして『アイラブユーレイ』って歌詞がちゃんと戯曲に書いてあってわろた。
安部公房先生こんな歌詞?書かれるんですね…。


「幽霊はここにいるよ」
このセリフがさらっと出た(本当にさらっと)瞬間ゾクッとしましたね。
勿論、深川の正体がわかるという意味もあるし、幽霊ビジネスでどんどんおかしくなっていく街にスコーンと風穴を開けられたような感覚。
前述しましたがこの戯曲は幽霊を筆頭に色んなことがあやふやなんですけど、その中で『深川(本物)は生きていた』っていう事実だけはハッキリしてるんですね。
観客として俯瞰で見てはいるけど舞台上でどんどんおかしくなっていく様を見続けていたので、この本物の深川の登場でなんかかなりスッキリしたような感覚になりめした。

ただ一番わからなかったのは、水筒を逆さに向けて中身の砂が落ちていくのを見つめながら深川(吉田)が言った
「畜生……」
これは何に対しての畜生だったんだろう。正直戯曲を読んでもわからなかった。戯曲は「畜生!」って"!"まで付いてたんですよね。
最初見た時にずっと深川のフリしてたのがバレて畜生って言ったのかと思ったけどそんな訳なさそうだしな。
それとも幽霊がもう幽霊でいられなくなったことに対しての『畜生』?
ここはどう解釈されたか色んな方に聞いてみたいです。

鏡が見られなかったのも、鏡に映る吉田を映してしまうと深川でなくなってしまう。
でも深川(本物)が現れ自分が吉田であるということがわかってやっと鏡を見ることができたんですかね。
ここの表情はよく見ておきたいので大阪公演で注目したいです。

「僕はずっと一人になりたかった」
あっ一人になりたかったんだ…www
あれだけ自責の念から幽霊に尽くしてたけど、さすがにもう一人になりたかったのかなwwってちょっとクスッとしてしまった。
でも戦友を死なせてしまったと思い込んでるうちは一人になれなかったんだろうな。
戦友である深川が生きていたことでやっと吉田も終戦を迎えられたと信じたいですね。


って思ってたのに最後のシーン。戯曲では大庭夫妻が幽霊を撫でまわして(笑)終わってたけど、吉田は再び戦火を浴びていて。
これは何を意味しているんだろう。
改めて戦争の悲惨さを訴えてるのか、考えたくはないけど結局吉田の夢オチだったのか。
それとも幽霊が沖の方に行ってしまって戦争の真似をしてる……?

戦友である深川が生きていたことで、やっと吉田も終戦を迎えられたと信じたいですね。せっかくお母さんとも再会できましたしね。
ミサコとはどうなるのかなぁ。もう幽霊に気を遣うことはないので(笑)いい感じになるのかなぁ。そうなると箱山……………(箱山最後まで不憫そうで可愛かったです)

 


その他気になったところをつらつら。

 

時系列
銅貨でどちらが水を飲むか賭ける→吉田が勝つがここで吉田が狂う→深川が吉田を引きずって歩いた後に捕虜→吉田が深川になった状態で"彼"を連れて自宅へ→自分の名前を名乗らない息子を心配したお母さんが病院へ入れる→深川(吉田)、"彼"を連れて逃亡→大庭に会う

で合ってる?
お母さんビックリしただろうなぁ、自分の息子がいきなり帰ってきたと思ったら深川って名乗ってるし
「こちらにいる幽霊があなたの息子さんです!」とか言ってたんだろうし(想像)


深川(吉田)の見た目の謎
何でこんなに幼げなビジュになったのかなぁと思ったけど、あのビジュこそが深川(吉田)が戦地に行ってた頃の姿だったのか?
G.O.Diaryには戦後1952年と書かれてるから少なくとも終戦から7年経ってるけど、深川(吉田)はずっと止まったままだった?
そもそももう終戦から7年経ってるのにいまだに当時のズタズタの軍服を着てるのが劇中でも深川(吉田)だけだもんな。
(終戦からこれだけ年数経ってても軍服着てうろついてる人も少なからずいたのかな?ちょっとここは勉強不足で申し訳ない)
まるで深川(吉田)自体が、生きてるけど幽霊かのような出で立ちなんですよね。
今立派に弁護士やってる深川(本物)との対比がすごいのは、深川はちゃんと終戦から7年経った姿ってことなのかな。
私がオタクすぎるが故に神山くんを可愛く見ちゃってしまってるのも原因だとは思うんだけど……(大いなる原因)
二人が戦友と言う割に(演者の年齢差もあるとは思いつつ)年齢や出で立ちに差があるのはそこなのかな?って勝手に思ってる。
1952年って調べてたら『お祭りマンボ』が歌われてた年なんですね。
あんな陽気な曲が流行るぐらいには日本は前進していってるのに、あぁやって深川(吉田)のように終戦を迎えても終わらない苦しみが続いてる人がいたのかなぁ。
ところで、吉田が深川を名乗ったり自分と深川を入れ替えたまま生きていたっていう、この感じ昔どこかで見たなぁ……と思ってたんですが、ザックスとクラウドに似てるよね。


深川(吉田)と幽霊は2人で1人?
幽霊は深川(吉田)の中でのみ生き続けてるし、深川(吉田)も幽霊という存在がいなければここまで生き延びてこれなかったかもしれない。
ミサコに対する感情も、幽霊としても、深川(吉田)としても惹かれていったのかなぁ。
一種の二重人格のような状態?しかも自分が吉田だということを忘れて深川として生きてたから余計にややこしいことに。

 

全然関係ないけど観ていてオセローをちょっと彷彿とさせたところ

神山くんが周囲を引っ掻き回す役柄
大庭が色々ずるがしこいことを考えて引っ掻き回してるように見えるけど、そもそも深川(吉田)が"彼"の為にこんなことしなければ起こらなかった訳だし。後半の市長になりたいミサコと結婚のあたりは完全に引っ掻き回してるしね。
イアーゴーは悪意で引っ掻き回してるけど深川(吉田)は善意でやってるから余計タチが悪いんだよなぁ。


最後のシーン
何でオセローも幽霊も最後神山くんが一人無残なところで佇んでるんだよぉぉぉぉ!めちゃくちゃデジャブってしまった。
あの時も『死ぬことができない』という苦しみがイアーゴーにあったようなラストだったけど、深川(吉田)もある意味『自分だけ生き残ってしまった』ことが苦しみだったのかな…。

 

PARCO劇場
初めて行きましたが素敵な劇場ですね。
座席もゆったりしていましたし、舞台上も見やすかったです。
お手洗いの個室が多くて回転率いいし(個人的にめちゃくちゃありがたかった)
立地が渋谷でなければ言うことなしですね………(渋谷怖い)(人が多すぎる)(駅から徒歩5分とは思えないぐらいPARCOが遠い)(人が多すぎて)

 

 

あと推し色のカクテルまで用意してくださるんですね。
美味しく頂きました。緑ばっかり飲んでしまった。赤も飲みたかったなぁ~!


大阪公演観劇直前に綴ってるんですが、また幽霊の世界に入り込めるのが本当に楽しみです!昔からよく行っていた劇場に神山くんが主演として立つ日が来るなんて!
千穐楽が終えましたらまた何かつらつら書くかも。